紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク
紀伊・環境保全&持続性研究所
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徳島県上勝町のつまものビジネス
「つまもの」というのは、料理を引き立てるために添えられ、四季を感じさせるような葉、枝花、造り物などの飾りのことです。徳島県上勝町では、つまもの生産で2億円を超える地域興しが行われています。
しかし、このような状態にまでなったのは、現在、
株式会社いろどり
の取締役をされている横石知二さんの並々ならぬ熱意と地元農家の女性達の協力とやる気の賜物です。
横石さんは、徳島県の農業者大学校を卒業して、出身地から離れ、上勝町農協に営農指導員として就職しましたが、その2年後に大冷害となり、上勝町の主要作物であったミカンが壊滅状態になるといった災害に遭遇しました。その中で、新しい野菜を取り入れて普及するとともに、市場で有利に販売できるように、夜の集荷から早朝の市場通いまで人知れぬ努力をして、上勝町の農業
生産の回復に尽力したという実績があります。
そうした中で、女性や高齢者にも取り組める仕事はないものかと常日頃考えていたところ、ある料理屋でつまものの可能性を直感して、地元の誰もが半信半疑であったつまものの生産を提唱し、女性の仲間を得て一歩一歩進め、ついには日本で最大のつまもの産地にまで成長させました。
つまもの事業が成功したポイントを私なりに挙げてみました。
1.産地形成のために、市場が求める品質のものを年間を通じて品ぞろいできるようにしたこと
です。このために、
1)女性、高齢者の生産者の会員組織を作って、時々研修会を開いて技術と品質の向上を図ると
ともに、新しいつまものを創造するなどの努力を常日頃していること、
2)生産者が競争して受注し、確実に納品するようにしたこと、このため、初めは個々に農家に
生産を頼んで歩いたが、そのうち無線ファックスで連絡し、返事の早いもの順に受注する
システムとし、今ではこれをインターネットを用いて発注と受注ができるシステムにするな
ど、生産者が競争して安定供給できるシステム作りに成功したこと、
3)上勝町産のつまものの料理屋への売り込み、営業努力を惜しまずに行い、消費を喚起し市場
取引を有利にしたこと、
4)上勝町の生産者は、以前に花木を出荷した経験があり、葉や枝花を供給できる素地(植木)
があり、これを生かしたことです。
2.上記のことを成し遂げる、指導者の熱意と創意工夫、リーダーシップ
このことは、横石知二著「
そうだ、葉っぱを売ろう!
」を読むと分かります。この本は横石さんの自伝的な本ですが、地域興しへのほとばしる熱意に打たれます。農林水産業と地域に元気が無いと言われる今の時代に、彼のような人材が必要とされています。是非一読をお勧めします。
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